
──まずは伊藤さんの普段の活動について教えてください。

伊藤
普段は某ホームセンターのリフォームの営業と、施工管理をメインの仕事としています。
また、個人で建築現場の作業員としても活動していますね。

──リフォーム営業と建築現場…バリバリ働かれていますね。

伊藤
はい。12月は1日も休みがないくらい、忙しいですね。
明日はタイル貼りです(笑)

──では、普段は絵と全く関係のない活動をされているんですね。

伊藤
はい、全く関係ないです。

──そこからうちの子アーティスト養成講座を受講された訳ですが、
元々、絵を描いたりされることはあったのでしょうか?

伊藤
いえ、全く描いたことがないです。

──そうなんですね。普段、絵とは関係ない活動をされていて、
絵も全く描いたこと描いた事がない状態から、なぜこの講座に入ろうと思ったのか?

伊藤
その辺りを深掘って行きたいのですが、
まずは、この講座を知ったきっかけを教えていただけますか?
インスタで流れて来た先生の絵を見て、即決めました。

──即ですか!?

伊藤
はい、即決めました。

──絵を描いた事がないのに即決めされた、その理由が気になります。

伊藤
私、高校卒業後にOLになったんですが、1年半ほどで辞めてトラックの運転手になったんです。
20歳の時でした。
その間に結婚、出産、離婚を経験して、トラックに乗りながら
休みの日に建築現場で働くようになりました。
30代後半くらいから建築の方がメインの仕事になって、そちらをずっとやっていたんです。
でも、さすがに年齢的に現場仕事が一生できないなと。
50歳を過ぎた頃から考え始めて。
インドアで何かできることを模索していた時に、さく先生の色鉛筆画講座と出会ったんです。
その時、先生の
「初めてでも写真のように描ける」
「初めてでも生きているように描ける」
という言葉に「よし!」と思って。
トキメいて。

──トキメいてしまったんですね(笑)

伊藤
はい(笑)
でも一番大きかったのは、『色鉛筆』だったことですね。
私、小学校の頃から図工とか大嫌いで。
絵の具の水を用意して後で洗ってとか面倒くさくて。
でも色鉛筆なら手軽そうと思って。

──なるほど

伊藤
それに先生の描いている様子を見て、めちゃくちゃ楽しそうに感じたんです。
正直、簡単とは思わなかったですけど、
にゃんこの絵を見た瞬間に「私にも出来そうな気がする!」って、
なぜか直感的に思ったんです。
それで、これを逃したら私一生後悔するって思って即決でしたね。

──そうした経緯があったんですね。

伊藤
うちにも犬猫がいるので、もちろん皆さんと同じように「うちの子が描きたい」っていう想いはあるんですけど、この先自分が生きていく中で「これはずっとやれるものだ」っていうのを感じたんです。

──手に職を付けられそうというか?

伊藤
そうですそうです。
ビジネスまで行かなくても、趣味と実益であるとか。
そう言ったことが、ちらっと頭をよぎりましたね。

──「ペットを描く」というのは大きかったですか?

伊藤
はい、大きかったです。
例えば、私が「風景画」を描いたところで誰が買ってくれるの?
って思いましたけど
「あなたの犬を描きますよ」って言ったら
それはみんな「描いて欲しい!」ってなるでしょってすごく思いました。

──周りから「絵を書いて欲しい」と言われるところまで想像できたという感じでしょうか?

伊藤
そうですね。
最初は、周りもまさか私が絵を描くとは誰も思っていませんでした。
同級生や知り合いに突然「私、画家になろうかと思う」って言って。
そうすると、大抵の友達は吹き出して固まるんですよ(笑)
今は描いた絵を見せてびっくりさせる事を楽しんでやってます(笑)

──それは楽しそうですね(笑)

伊藤
はい。
みんな本当にびっくりするんでよ!
作品について
──では、みんながびっくりした作品について根掘り葉掘り聞かせて下さい
伊藤
1作目
最初に描いたのは、うちの猫の「こふな)」です。
この子は今2才で、生後15日くらいで引き取って、3時間置きに授乳をしながら育てた子なんです。

──では、みんながびっくりした作品について根掘り葉掘り聞かせて下さい

伊藤
1作目
最初に描いたのは、うちの猫の「こふな)」です。
この子は今2才で、生後15日くらいで引き取って、3時間置きに授乳をしながら育てた子なんです。
#作品解説
題名:「こふな」
制作期間:約2週間
特徴:猫の目の表情に特にこだわって制作。
毎日1時間ほど、仕事帰りに少しずつ描き進めた。

──初めての作品「こふなちゃん」を描き始めた時のことを、もう少し詳しく教えていただけますか?

伊藤
先生の講座では目を最初に描くと聞いていたので、私もこふなの目から描きました。
私も猫の目を描いてみたかったんです。
それで、生まれて初めてこの子の目を描いた時に「できる!」って手応えを感じたんです。

──これはどういったシーンの写真ですか?

伊藤
娘が家でネイルサロンやっていて、家にずっといるもんですから。
1日に何十枚とこの子たちの写真を撮って、娘が毎日アルバムにあげてるんです。
その中から特にシンプルなのを選んだんだ写真ですね。
目がぱっちりしていて、シンプルな感じのこの写真を選んだんだと思います。

──初めての作品を書き上げた時はどんな気持ちになりましたか?

伊藤
「すごい!やれたわ!」みたいな感じです。
うちの娘はあんまり一生懸命褒めるタイプではないんですけど、
娘も「すごいじゃん!」って言ってくれて。
「ネイルルームにも飾っていいよ」って言ってくれました。

──娘さんは受講される時に何かおっしゃっていましたか?

伊藤
いえ、私は何も相談しませんでした。
多分、「突然ニトリに行ってなんか机と椅子を買い込んだぞ」
みたい思ってたと思います(笑)

──そしたら「いきなりすごい絵描いてきたぞ!」みたいになったんじゃないですか?

伊藤
そうですね(笑)
LINEで描けたって娘に絵を送ったんですけど、
「え、ウソでしょ?」みたいな感じでした(笑)
娘も驚いていたんですけど、特に孫達の反応が凄かったですね。
仕事でクタクタになって帰ってきても、
毎日1時間は必ず描くようにしていて、孫たちが毎日様子をみに来るんですよ。
そしたら「ばあちゃん、すごい!すごい!」って。
娘と一緒に、孫達もすごい感動してくれました。
2作目

──2作目はどのような作品を描かれたんですか?

伊藤
2作目は10歳になるうちの犬の「こまめ」を描きました。
この子は生まれつき耳が聞こえないチワワとトイプードルのミックス犬なんです。
#作品解説
題名:「こまめ」
制作期間:約2週間
特徴:洋服の質感表現に挑戦。

──これはどんなワンシーンなんでしょうか?

伊藤
これは写真を見ていただくと分かるんですけど、
孫がこまめを抱いて膝の上に乗せてるんです。
もうちょっと余裕があれば、孫も背景も一緒に描いていたんですけど、
とてもそんな余裕がないので背景は塗りつぶしたんです。

──猫と犬では描き方に違いはありましたか?

伊藤
猫の方が難しいけど楽しいかなと感じます。
目の表情や毛並みのトラ模様のような部分は、やりがいがありますね。
一方、白い犬は影を作っていくしかないので、また違った難しさがありましたね。

──特に苦戦したところはありますか?

伊藤
この作品で特に苦労したのは洋服の質感の表現でしたね。
先生から「見える色をどんどん重ねていって」というアドバイスをいただいて。
黒の中でも赤っぽく見えたり青っぽく見えたりする色を、見えた通りに重ねていきました。
3作目

──3作目の作品について教えていただけますか?

伊藤
会社の同僚で犬を飼っている方に「練習したいので写真を貸してください」とお願いして描かせていただいた作品です。
親子の犬たちで、お母さん犬とその子犬たちを描きました。
#作品解説
題名:同僚の愛犬親子
制作期間:約2週間
特徴:複数の犬を1枚の作品に収めた初めての挑戦作品

──初めて身近な方へプレゼントされた訳ですが、どんな反応でしたか?

伊藤
ものすごく喜んでくださって。
後日、その作品を飾ってくださっている写真も送っていただきました。
奥様も喜んでくださったと聞いて、本当に感動しましたね。
初めて人にプレゼントする作品だったので緊張しましたが、
「写真みたい」「本当にその子だわ」と言っていただけて。
特に「みんな顔が違って、それぞれの子の個性が出ている」と評価していただけたのが嬉しかったです。

──制作期間はどれくらいでしたか?

伊藤
平日は1時間程度、休日は2-3時間かけて、全体で2週間ほどで仕上げました。
この作品を描いている最中に1匹が亡くなってしまったと聞き、
より一層思いを込めて完成させました。
4作目

──4作目はどんな作品でしょうか?

伊藤
4作目は、実は私のうちの子ではなくて、姉の家の猫を描いた作品なんです。
この前、突然持って行ったんです。
姉は私が絵を描いているということを全く知らなかったんですよ。
しかも、この子は相当前に亡くなっている子なんです。
保護猫だったんですけど、姉も本当に猫好きで。
亡くなった後も写真を大切に飾っているのを知っていました。
ふと思い出して、私のスマホの中にもこの子の写真があったはずだと思って探してみたら、
本当にたまたま見つかったんです。
それで姉にプレゼントしようと思って、何も言わずに突然持って行きました。
#作品解説
題名:「シャリ」
モチーフ:姉の愛猫
特徴:瞳の中の赤い光の表現が特に評価された回想作品

──お姉さんにプレゼントされた時の様子を教えていただけますか?

伊藤
もう本当にびっくりしていましたね。
姉のうちには30歳くらいの娘(姪)がいるんですけど、2人とも言葉が出なくて、泣いてしまったんです。
「シャリちゃんじゃん!」って。
本当に今ここにいるみたいな感じで受け取ってくれて。
「実は…」って言って、作品を出した時の反応が忘れられません。
それでこの前、このインタビューがあるから
作品を拝見させてもらいたいとお願いしたら、
飾っていなくて、大切にしまってありました。

──特にこだわって描かれた点はありますか?

伊藤
実は私たちの家では代々、猫に『シャリ』という名前を付けているんです。
私たちが結婚する前、実家にいた時にシャリという猫がいて。
それ以来、姉はその後に迎えた猫をみんな『シャリ』って名前にするんです。
作品を見た姉は、目の中の赤い光の表現を見て「ああ、こういうのがあったよね」って、すごく感動してくれました。
細かい部分まで本当によく覚えていて、それを表現できていたことが嬉しかったですね。
5作品目

──5作目もお客様の猫を描かれたそうですね?

伊藤
はい。娘がネイルサロンをやっていて、そのお客様のお宅に出張ネイルに行くんです。
そこに2匹の猫ちゃんがいて、娘が「うちのお母さんがこういう絵を描いているんです。
「今度描いてあげますよ」って約束してきちゃったんです(笑)
それで猫ちゃんの写真を撮ってきてくれたので、
いつもお世話になっているお客様でもあるし、練習がてら書かせていただこうと思って。
「小太郎」という名前の猫ちゃんを描きました。
#作品解説
題名:「小太郎」
品種:ノルウェージャン
特徴:目の表情にこだわり、何度も修正を重ねた作品

──お客様の反応はいかがでしたか?

伊藤
不動産をやっていらっしゃる70代のマダムなんですけど、その方のコメントが印象的でした。
「今まで描いてもらった中で一番上手よ」と言っていただいたそうです。
今までいろんな方に描いてもらっていたみたいなんですが、その中で一番という評価を頂けて。

──それは嬉しいですね。特に工夫されたところはありますか?

伊藤
この子は目の表情に特にこだわって、何度も何度も直しました。
目の開き方がちょっと違うなと思って。
色鉛筆のいいところは、直せるということ。
何度でも修正できるので、納得いくまで描き直すことができるんです。
6作品目

──6作目はどんな作品でしょうか?

伊藤
会社の同僚のダックスフンド、「チップ」という子です。
ちょうど亡くなって同僚が泣いていたので、亡くなってすぐに描かせていただきました。
彼女は私が絵を描いているということを知っていたんですが、
私の方から「描かせてもらってもいいですか?」と声をかけて写真をいただきました。
#作品解説
題名:「チップ」
品種:ダックスフンド
享年:19歳
特徴:黒い犬を描く初めての挑戦作品

──19歳という長寿だったんですね?

伊藤
はい。「まあ、年も年だからね」と彼女は言っていましたが。
私自身、黒い犬を描くのは初めての挑戦だったので、この機会に挑戦させていただきました。

──お渡しした時の反応はいかがでしたか?

伊藤
もう見た途端に「チップだ!」って言って泣いてくださいました。
写真とは違う「温かさ」があると言っていただけて。
家のために描いているわけではないんですけど、
亡くなった子を描かせていただくと、自然とそういう思いが込められるんでしょうね。
作品がその後どこに飾られているのかまでは聞いていないんですけど、
喜んでいただけて本当に嬉しかったです。

──作品を描いている時、飼い主さんと同じように特別な感情を感じることはありますか?

伊藤
はい。描いている時、特に目を描いている時に、その子と目が合うような感覚になります。
ポメラニアンの4匹を描いた時は私も泣けてきました。
亡くなってしまった子もいることを知っていましたし、自分の家の子ではない子を初めて描かせてい
ただいた作品でしたから。
描いていると、なぜか目が合ったような気がして、涙が出てきたんです。
亡くなったばかりのチップの時もそうでした。
19歳で亡くなった子の飼い主の思いを考えると、自然と感情が込み上げてきます。
目を描いているうちに、だんだんとその子と目が合う感覚になってくるんです。
「何言ってるの」って感じかもしれませんが(笑)。
でも、本当にそんな不思議な体験をします。
作品をお渡しする時、飼い主さんの反応を見ていると、また違った感動が押し寄せてきますね。
7作目

──7作目は背景のフェルトが特徴的な作品ですね!

伊藤
はい、この作品は娘のネイルサロンのお客様のお友達の子たちなんです。
いつも2人でネイルに来られるマダムのお一人で、「私のうちの子も描いて」とリクエストいただきました。
#作品解説
題名:「殿と姫」
特徴:背景も含めて再現した意欲作
制作方法:部分ごとに区切って制作

──背景も含めて描かれた理由は?

伊藤
背景なしではつまらないかなと思って。
練習も兼ねて、背景も全部再現してみようと挑戦しました。
意識してフェルトのような質感を出したわけではないんですが、
お客様から「厚みを感じる」と言って頂けて。
思いがけない評価で嬉しかったです。
制作は「ここを描いて、次にここを描いて」と、区域を区切りながら少しずつ進めていきました。
時間はかかりましたが、特に籠の部分は自分でも満足のいく出来になりました。

伊藤
私の部屋にはテレビがないので、パソコンで音楽をかけながら描いているんです。
壁の部分を描いている時に、ちょうど長渕剛の曲がかかって。
すごくテンションが上がって、一気に描き進められたのを覚えています(笑)。

──お客様の反応はいかがでしたか?

伊藤
「今まで描いてもらった中で一番上手」と言っていただきました。
前回のマダムの方と同じ評価をいただけて、本当に嬉しかったです。
いろんな方に描いてもらっているようなのですが、そう言っていただけて光栄でした。

──素敵な作品のご紹介ありがとうございます。
伊藤さんが絵を描き始めてから、生活や心境に変化はありましたか?

伊藤
はい。大きな変化がありました。
実は以前、人間不信に陥るような出来事があって。
その時の嫌な思いが頭から離れなくなってしまって。
その時は「考えないようにするには勉強しかない」と思って、建築の資格を取ったりしました。
とにかく頭を違うことに切り替えたくて。
私はタバコも吸わないし、お酒も飲まないんですけど
特に息抜きもないような生活だったので、以前は仕事帰りに毎日パチンコ屋に行っていたんです。
パチンコ屋って不思議と1人になれる場所で、そこで気分転換をしていました。
勝つとか負けるとか関係なくて、毎日決まった金額だけ使って帰るというのを日課にしていました。
家に帰ると、たくさんの小さな犬や猫たちが待っていて「よし、帰るぞ」って気持ちにする。
そんな生活をしていたんです。
でも今は完全に切り替わって、
毎日疲れていても1時間絵を描くことで、すごく頭がすっきりするんです。
ほんのちょっとの時間でも、夢中で描いている時間が癒しになって、パチンコには全く行かなくなりましたね。
この半年間、一度も行っていないです。
本当に時間が惜しくて。
早く帰って、早く支度して、早く絵を描きたいという気持ちでいっぱいなんです。
今日はほんの少ししか描けなかったとしても、「それでよかった」という気持ちになれる。
それが私にとってすごく大きな変化です。

──精神面の変化も大きかったんですね。

伊藤
はい、その変化が一番大きいと思います。
だから、最初に先生の講座を見た時も、きっとそういう効果も期待していたんだと思います。

──作品制作の過程で、さく先生からどのようなご指導を受けていますか?

伊藤
先生は「失敗はないから、なるべく消さずに書いて直せ」とおっしゃいます。
上から書き直せばいいと。
本当に予備知識も経験も全くない私には、先生が送ってくださった道具と、先生のおっしゃることだけが頼りです。
他の受講生さんは「この道具はどう?」「あの道具は?」といろいろ研究されているようですが、
私にはまるで漫画の登場人物のように、覚えられないんです(笑)
だから先生が送ってくださった道具だけを使って、
他の受講生さんの添削を見ながら
「鉛筆はこう使うんですよ」
「白いところはこうするんですよ」
「黒いところはこうするんですよ」
「影は塗り込むんですよ」
という先生の言葉をそのまま実践しています。
何の疑いもなく、ただ忠実に従っているだけなんです。

──さく先生の人柄については、どのような印象をお持ちですか?

伊藤
さく先生は本当にすごい方です。
これだけの人を集められるのは、やはりある程度のカリスマ性がないとできないことだと思います。
でも同時に、すごく庶民的で親しみやすいところもあって。
先生として尊敬すべきところがたくさんあるのに、時々すごくフレンドリーな面を見せてくださる。
めちゃめちゃ気さくに『落っこちる』ところもあるんです(笑)。
そのギャップが、みなさんに愛される理由なんじゃないかと思います。
尊敬できる先生であり、でも親しみやすい存在でもある。
そんな両面を持ち合わせているところが、先生の魅力だと感じています。

──受講生の皆さんの様子はいかがですか?

伊藤
すごく活気がありますね。
毎日凄い量のLINEのやり取りがあって、みなさんの作品や進捗を見せあっています。
他の受講生さんの作品を見ていると「すごいな」「こんな風に描けるんだ」と毎日感心しています。
そこから新しい気づきを得ることも多いんです。
みなさんの作品から刺激をいただいて、自分も頑張ろうという気持ちになります。
私は黙々と描くタイプですが、こうやって仲間と一緒に学べる環境があるのは、とても心強いですね。

──今後の展望についてお聞かせください。

伊藤
まずは今、お世話になった方々への感謝の気持ちを込めて作品を描かせていただいています。
会社関係の方や、娘のお客様、友人たちへのお礼として。
将来的には販売もしていきたいですね。
動けなくなっても続けられる仕事として、絵を描き続けることができればと考えています。
ただ、始めて半年なので、まだまだ技術的な課題を感じています。
先生は「ここをこうすればこういう風になります」と説明してくださるのですが、
私の場合はまだ偶然うまくいっているような状態なんです。
「この色はどの色を使ったんですか?」と聞かれても、
「その時やってみたら偶然できました」としか答えられない。
もし将来人に教えるとなったら、もっと意識的に技術を身につけていく必要があります。
どの作品も「描けるかな」という不安から始まります。
これからも一つ一つ経験を重ねながら、確実にスキルを上げていきたいですね。
毎回新しい挑戦だと思っています。

──受講を迷っている方へメッセージをお願いできますか?

伊藤
私はよく周りから「元々才能があったんでしょう」と言われるんです。
でも、本当に才能じゃないんです。
何度「才能じゃない」と言っても誰も信じてくれないんですけど(笑)。
先生がおっしゃる通り、本当に初めてでも描けます。
私がその証明になれると思います。
全く知識もないですし、この世界のことも何も分からない状態からのスタートでした。
受講前の絵のレベルはこれですから(笑)

──ものすごい変化ですね(笑)

伊藤
はい、実は私、仕事柄時々図面を描くことがあるんです。
でも、CADに起こしてもらう時も「これで分かってくれるかな」というレベルの酷いものしか描けないんです。
そんなレベルだった私が、今では絵を描けるようになりました。

伊藤
不思議なことに、私のインスタグラムで絵だけを載せているアカウントに、すごい絵を描く方々がフォローしてくださるんです。
ペットの絵だけでなく、本当にすごい絵を描かれている方々が。
「こんな私が、そういう方々の仲間入りができているの?」って、今でも信じられない気持ちです。
周りの人は「やっぱり才能があったんだ」って言われます。
でも本当に違うんです。
先生もおっしゃっていましたが、簡単ではありませんが、誰でも描けます。
インスタグラムで「私でも描けるんだったらやってみたい」というコメントを見かけることがありますが、本当にその通りなんです。絶対にできます。
結局は、やるかやらないか、その決断だけだと思います。
伊藤千鶴子さんプロフィール
ホームセンターでリフォームの営業・施工管理を担当。
20代でトラックドライバーを経験後、建築現場での作業も行う。
2024年に入門したうちの子アーティスト養成講座で、半年間で数々の作品を制作。
現在は依頼を受けて肖像画制作も行う。
特に亡くなったペットの思い出の一枚を描く作品に定評がある。