Profile(講師プロフィール)

幹弓華凰
Kako Miku
彩り文字アーティスト養成講座講師。
書家として30年間書道教室を運営し、数千人の生徒を指導してきた経験を持つ。
日本画と水墨画の技法を書道と融合させた独自の「彩り文字」を開発。
偶然の発見から生まれたこの新しいアートは、レベルや年齢に関係なく多くの人に愛されている。
全国展開から世界への文化発信を目指している。
Interview(インタビュー)
Outline
書と色彩を融合させた表現「彩り文字」を教える、彩り文字アーティスト養成講座・幹弓華凰先生。このたび彩り文字は、神戸市が推進する部活動支援事業「こべかつ」に登録され、中学生の「新しい部活動の選択肢」として活動することが決まりました。
実はこの出来事は、先生が長年あたためてきた、ある想いから始まっています。幹弓先生に、「こべかつ」登録に至るまでの道のりと、彩り文字に込めた想いを伺いました。
「こべかつ」とは?――神戸市の部活動地域移行
まず、「こべかつ」について教えてください。
「こべかつ」とは、神戸市が進める部活動の地域移行を目的とした取り組みです。中学校の部活動は、2026年を目途に段階的に終了して、今後は、平日・休日ともに、地域の団体や指導者とともに活動するスタイルへと移行していきます。
どんな想いがある取り組みなんでしょうか?
子どもたちの選択肢を広げること、学校教育をより充実させること、多世代交流・地域活性化といった想いがあります。
登録するには基準があるんですか?
はい。活動時間や運営体制、保険加入など、一定の基準を満たした団体しか登録できない仕組みです。
「中学校の部活にならないかな」──心にあった想い
幹弓先生は、以前から「こべかつ」のような取り組みを意識されていたんですか?
実は、ずっと思っていたんです。彩り文字が、中学校の部活にならないかなって。
それは、どんな背景からですか?
大人にはSNSやイベントを通して届けられても、子どもたちとの接点は、意外と少なくて。けれど、書道イベントで子どもが彩り文字を体験して、目を輝かせて喜んでくれた姿が、強く心に残っていました。
その経験が、想いのきっかけになったんですね。
中学生から始められたら、その先、小学生やもっと小さい子たちにも、表現する楽しさを届けられるかもしれない。そんな想いを抱きながらも、教育の現場とつながるきっかけは、なかなかありませんでした。

生徒さんの一言が、道をつないだ
「こべかつ」を知ったきっかけは?
転機は、思いがけないところから訪れました。彩り文字の生徒さんから、「神戸市が部活動を地域に移行するらしいですよ」と教えてもらったんです。
それは大きなチャンスでしたね。
しかも、一般の団体や個人も応募できると聞いて、これはチャンスかもしれないと応募を決意しました。
応募にあたって、不安はありましたか?
正直、彩り文字という表現自体が、まだ世間に広く知られていないので、大丈夫かな、という不安はありました。
それでも、応募されたんですね。
長年あたためてきた想いを信じて、申請しました。そして、彩り文字は、「こべかつ」への登録が認められたんです。
教えたいのは「上手な字」ではない

幹弓先生が、子どもたちに届けたいものは何ですか?
単なる書の技術ではありません。字は、きれいに書けたらもちろん素敵です。でもそれだけじゃなくて、その文字の意味を感じることを大切にしてほしいんです。
文字の意味を感じる、ですか。
たとえば、「赤」という漢字を、必ず赤で書く必要はありません。その文字から何を連想するか。誰のために書くのか。どんな想いを込めるのか。
考え、感じ、表現する。
そのプロセスそのものが、彩り文字なんです。
書いたものを「誰かに贈る」文化へ
先生が描く未来について教えてください。
書いたものを贈る文化を広げたいと思っています。友だちの名前の一文字を書いて贈る。おじいちゃん、おばあちゃんにプレゼントする。それだけで、すごく喜ばれるんですよ。
日本では、あまりその習慣がないですよね。
海外にはカード文化が根付いている一方、日本ではその習慣はあまりなく、文字離れも懸念されています。だからこそ、想いを文字にして渡す体験を、中学生という多感な時期に味わってほしいんです。
この体験が、子どもたちにとってどんな意味を持つと思いますか?
仕上げたときの達成感や喜びを、小さいうちから感じてほしいんです。

彩り文字は、講師たちの新しい一歩にもなっている
「こべかつ」で実際に指導にあたるのは?
彩り文字アーティスト養成講座を修了した講師たちです。50代後半〜60代の方が中心です。
講師の皆さんの反応はいかがですか?
学校という場で教えるという新しい挑戦に、皆さん今からとても楽しみにしています。
幹弓先生は、どのようなスタンスで?
全部お任せしています(笑)。
それは、信頼されているということですね。
教える側も、学ぶ側も、新しい役割と生きがいに出会う。それもまた、この取り組みが生み出している価値のひとつだと思っています。
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